のんびりまったりザンビア日記

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はじめての栄養教室


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Mulishani mowane? (ベンバ語よりさらに土着の言語ランバ語で"How are you?")

 

先週、ようやく活動らしい活動ができました。というお話。

 

コミュニティボランティア

もとはといえば、いつも頼りにしているめちゃくちゃやる気のあるコミュニティボランティアが「nutrition club(栄養教室)を開催したい」と企画してくれたことがきっかけでした。

 

改めて説明すると

コミュニティボランティアとは、それぞれの村の中から援助機関や政府により選ばれた、健康を広めるためのサポート要員のような方々です。

あり方のイメージとしては、地域の町内会の役員みたいな?

 

母子保健、水衛生、マラリア対策、HIVエイズ対策など各分野につき担当が選ばれ、援助機関や郡保健局との会議に参加したり、毎月自分の村について所定の調査や指導を行ったりします。

 

ボランティアは基本的には無報酬なので、家族を養うためにはしっかり本業(大抵は農業)も続けながら頼まれたボランティアの仕事を行う必要があります。

しかも中には一人が複数の分野のボランティアを掛け持ちで任されているケースも。

 

だから中には本業や他の分野のボランティアが忙しくて、コミュニティボランティアに選ばれてもなかなか会議やレポート提出に参加できない人も多く…。

そんな中、自分で新しい企画までやりたいと言ってくれる冒頭のボランティアさんはとっても貴重な存在です。

 

 

いつやるの?

だから、初めて栄養教室の話をボランティアさんから聞いたときは、そりゃあ嬉しかった。

 

なんとか彼の企画に彩りを添えて良い栄養教室にしようと、私も自分なりにパワポを作って先輩隊員の家でカラーコピーして、ホワイトボードやら手作りのカードやら用意して準備していました。

 

村でちゃんとした発信をするのは初めてだし、英語(からさらに現地語に通訳してもらうけど)での説明になるし、前日は頭の中でシュミレーションしてドキドキしていました。

 

ところが栄養教室当日。

 

ボランティアさん

「今日村でfuneralがあるから、延期になった」

 

そっか…。funeral(葬式)ならしょうがないか。。

 

ザンビアではすごく近所や親戚でなくとも、同じ村でfuneralがあれば大抵の村人が参列します。

しかもそもそもの家族が10人とかの大家族だし、ましてや「仕事の同僚の奥さんの兄弟の娘さん」っていうレベルでも参加するもんだから、しょっちゅう参列すべきfuneralが発生するわけです。

(もしかすると亡くなる絶対数も多いのかもしれないけど…)

 

そして仕事があろうが重要な会議があろうが、funeralは絶対。よっぽどのことがなければ仕事は休みにしてfuneralを優先します。

 

そんな状況だから、残念だけど栄養教室が中止になるのはやむを得ないと納得。

 

そして、延期後の開催日と聞いていた、次の週の木曜日を迎えました。

 

ところが。

 

「今日は郡保健局のスタッフが視察に来ると聞いたから、栄養教室を来週に延期すると村に連絡した。

でも、郡保健局がfuneralで来れなくなった」

 

その後もさらに延期が数回繰り返され、約束の月曜日。

 

…もはやコミュニティボランティアが来ない。

説明にも来ない。

 

私もさすがに意気消沈して、もうヘルスセンターのオフィスにこもって他の業務をしてました。

 

そして何も連絡がないまま、その週の木曜日。

 

朝の支度をしていると、コンコンと家のドアを叩く音が。

 

ボランティアさん

「久しぶり!いやあ、今週は大豆の収穫があって忙しかったよ。

それで、本当は今日栄養教室を開催すると村人に言ってたんだけど、都合が悪くなったから明日の金曜に開催することにしたよ。」

 

…おいおい、今日に変更になってた時点で一言いいなよ。そして私も予定があるんだから連絡できなくてごめんくらい言いなよ。

 

とは思ったものの、私もザンビアに暮らして5ヶ月目、「ごめん」を言わないのがザンビアカルチャーだということはもう知っています。笑

 

そして満を持して(というか持すぎて笑)ようやく、金曜日に栄養教室が開催されました。

 

 

歩いて村へ

開催地の村は、ヘルスセンターから歩いて片道1時間半。

 

遠すぎて普通はヘルスセンタースタッフも車が出ないと行かない村なので、私が行くと伝えたらさすがのスタッフにも「徒歩で?!正気?!」と驚かれました笑

 

さらにCHAという、環境衛生士(保健師のような職業)の実習生の女の子たちも3人連れて(都会育ちの彼女たちもぶーぶー言いながら歩いてた)、とことこと目的の村まで歩いていきました。

 

そして10:00開始の予定だったところ、ようやく11:30に到着。

 


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…はい、不安になるくらい誰もいない。

 

コミュニティボランティアさんに「誰もいないね〜」と話したところ、「昨日に開催する予定だったけど変更したから、皆ほんとうに自分達が来るか半信半疑だったんだよ」とのこと。

 

…まあ、その前に何回も日程変更してきてるしね。

 

そして待つこと約1時間、ようやく村人が集まってきました。

 

 

ようやく開催

 

そして、待ちに待ちすぎた栄養教室第一回がようやく開催。

 

主旨としては、

 

・村人のタンパク質が不足している

・料理に油を使いすぎて病気の元となっている

・ピーナッツを栽培しているが全て売り払っており自分達で食していない

 

→そこで、食用油の代わりにタンパク質がとれてヘルシーなピーナッツを使うレシピを提案しよう!というものです。

 

(このアイディアを考えたのが村人の一人であるボランティアさん自身というのが一番素晴らしいところ。)

 

そして私はボランティアさんのメッセージをより効果的に伝えるべく、クッキングデモンストレーション(料理の実演)の前に栄養についてのプレゼンテーションをしました。


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まずはボランティアさんと実習生に通訳してもらいながら、パワポを印刷したものを使って、五大栄養素の内容と、それぞれの栄養素が不足したらどんな悪影響が出るか、どの食品から採れるかを解説。

 

(通訳のボランティアさんと実習生しばしば暴走。私が言ってないことも付け加えてくれる。いや、むしろ素晴らしいし、ザンビア人自身が主体となってくれるのはとても良いこと。)

(ただ、質問コーナーのときに通訳の役割を忘れて私をはさまずに直接回答しちゃうのはやめて。笑)


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次に、ホワイトボードと色画用紙、食べ物の写真を印刷したカードを使って、村人にクイズ。

それぞれの食べ物がどの栄養素グループに含まれるか、カードを貼りながら予想してもらいました。

 

「栄養素」の概念から説明を始めるくらいなので案の定村人の正答率はとても低くて、取り組みの必要性が感じられてよかった。

 

そして肝心な「ピーナッツパウダーが油の代わりになる」というメッセージを何回も強調できました。

 

ただ、マグネットを調達できずセロハンテープで貼ってるもんだからちょいちょい風でカードが吹き飛んで気が散った(笑)


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ボランティアさん自身も、私の用意した教材を利用して自主的に解説してくれました。嬉しい!

 

ただ問題は、次に始まるクッキングデモンストレーションの準備のために途中で女性達がぱらぱら抜けていってしまったこと…。

 

権力の強い男性達が聞いてくれたのも嬉しかったけど、普段ご飯を準備する女性達には特に聞いてほしかった。

 

このあたりは打ち合わせと段取りに反省。

 

クッキングデモンストレーション

そして、いよいよメインのクッキングデモンストレーション開始!

 

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まずはピーナッツを殻から出してすりつぶします。


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次にそれをふるいにかけてピーナッツパウダーを抽出。


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かぼちゃの葉っぱやトマトを煮てから、その中にピーナッツパウダーを加えます。


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同時進行できのこの炒めものなど他のおかずも用意。

(でも、せっかく油を使わないことが目的なのにきのこには油を入れていた…)


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さらに別の調理場で主食のシマも用意。(メイズのパウダーを煮てつくります。近くにメイズを粉末にするための機械もあった)


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煮えるまでまったりタイム。

お母さんたち素敵な笑顔!

 

私もちょいちょい料理に参加してるのですが、私の拙いベンバ語でもすごく喜んで会話してくれてとってもフレンドリー。


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そして完成したのがこちら!

 

左が今回のメイン、フィサシ。

普段はかぼちゃの葉っぱとトマトと大量の油を使って作るのですが、油の代わりにピーナッツパウダーを入れたことでヘルシーになった上、風味と甘みも出てとっても美味しかった!

 

右が主食のメイズ。現地流にめっちゃ手でにぎにぎ握って食べるとおもちみたいになって美味しい。

奥がきのこの油炒め(こっちは大量の油入り)。

 

とっても美味しいご飯ができて充実感に満たされました。

 

第一回を終えて

全体の段取りや目的をもっとはっきり伝えた方がよかったな、など色々と反省はあったけど、ボランティアさんにも「君のプレゼンはとっても効果的だったよ」と言ってもらえたし、第一回目としてはわりと良い感じだったのではないかなーと。

 

開催されるまでは日程が定まらなさすぎて前途多難だったけど、やってみてよかった。

 

 

そして大きな達成感と同じくらい大きな疲労感を抱えながら、また1時間半歩いて帰りましたとさ。



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