やさしさ第2弾と青年海外協力隊
Twatota mowane! (土着の言語ランバ語で"Thank you very much")
以前もザンビア人のやさしさについて書きましたが、またもや書きたいエピソードがあり第2弾。
パーカーがない
今日は朝から、同僚とその妹さんと一緒にタクシーをシェアして街まで行きました。
いつもは週末に街まで出るときは1泊してから帰るのですが、今日は珍しく日帰りで行こうと計画してました。
普段は一晩家を空けることを考え洗濯物やらなにやら終わらせてから出かけていたのですが、今回は夕方に帰ってくるし干しっぱなしでいいか〜とパーカー2枚を外に干したまま出かけることに。
そして夕方に帰宅。
あれ!!物干しロープにあったはずのパーカーが2枚ともない!
まさか…盗られたのでは…
そんな〜と思いながら懐中電灯で外を見回し、ほんとになくなっちゃったかな…とドキドキしながら、少しの望みをもって隣の家の同僚に聞いてみました。
すると…
なんと同僚が家の中からパーカーを持ってきてくれたではありませんか!
しかも綺麗にハンガーにかかった状態のまま。
同僚は、私が今日帰ってこないと思って一晩干しっぱなしはまずいだろうと、パーカーを取り込んでおいてくれたらしいのです。
なんと親切な…!
任地の人々を信頼しすぎて気を抜いていた罰が当たったかと思いきや、その逆でかえってザンビア人の親切さと信頼性を裏付けることになったのでした。
疑ってごめんなさい。
(でも良い隊員の皆さんは一応盗難に気をつけましょう。笑)
市場にて
また先週は、ンポングウェ郡中心部の市場を歩いていたら、一度会ったことのある女性が"Mwenya!"と話しかけてくれて。
バナナを6本買ったら「バセーラ(おまけ)」とにっこり笑って1本おまけしてくれました。
その笑顔の可愛いことといったら!
思わずキュンとしてしまいました。
さらに、ンポングウェ郡中心部から任地セント・アントニーへ向かう公共のシェアタクシーが時々あるのですが、先週はあいにく乗り場に一台も停まっていない状態でした。
重い荷物を沢山持っていたし暑さの残る昼下がりだったけれど、仕方ないから車が来るのを待つか~とその辺のコンクリートの上に腰かけようとしたところ。
携帯電話のトークタイム(プリペイド式の通話料)売りの小屋から、若い女の子が話しかけてきました。
だいぶ昔の別の場所での写真だけれど、右端の赤や黄色の小屋が街中にありトークタイムを売ってます
「おいでおいで!小屋の中に荷物置いて休みなよ」
と、わざわざ空のビールケースで簡易な椅子まで作って小屋の中に座らせてくれたのです。
シェアタクが来たら教えるから休んでていいよって。
なんかもう、思いがけない優しさに感動してしまいました。
ちなみに彼女は現在22歳で、去年secondary school (日本でいう中学・高校)を卒業したばかりとのこと。
家で暇を持て余すよりも働いている方がまだ楽しく過ごせるので、トークタイム売りをしているらしい。
彼女がさらにやりがいのある仕事を見つけられることを、心の中でそっと願ったのでした。
ザンビアから日本を知る
こんな優しさをくれる親切なザンビア人のおかげで、やはりますますザンビアが好きになっていっています。
最近、青年海外協力隊のアフリカの要請に合格した友達に、「ザンビアは治安大丈夫なの?」と聞かれて、
「あぁ…そういえば私も来る前はとても不安に思ってたなあ」とむしろ懐かしい気持ちになりました。
それほどまでに、ザンビアに馴染み、ザンビアという土地に安心感を覚えるようになった自分に気付き、はっとします。
思えば任地セント・アントニーに来て1ヶ月目の頃は、慣れない環境の上にまだ人間関係も構築できておらず、かなり孤独を感じて日本シックになっていました。
それが今では、ザンビアにあって日本に足りない良さが見えるようになり、日本を客観的に分析できるようになったし、むしろ日本以外の先進国にも住んでみて日本の考え方を他と見比べたいとさえ思うようになりました。
青年海外協力隊(シニアを含めた新総称: JICA海外協力隊)は、確かにあまりに隊員に裁量がありすぎて、恐らくうまいことやって2年間遊び呆けることもできるので、帰国後に日本社会に馴染むためには危険な制度だ、と批判する人がいることも分からないではない。
けれど、日本の若者の育成事業としての側面から言えば、これ以上ない素敵な制度だと思うのです。
日本という慣れ親しんだ土地で守られながらぬくぬくと生きてきた若者が、右も左も分からない土地へたった一人で投げ込まれ、言葉も十分に伝わらない中でゼロから人間関係を構築し、文化の違いを受け入れながら自分のやりたい活動の実現に向けてがむしゃらに立ち向かっていく。
そして、ずっと常識と思ってきた日本の価値観がいとも簡単にガラガラ打ち壊され、今の日本のあり方に疑いの目を向ける。
確かにそこには多くの典型的な日本企業が新入社員に求めるような「礼儀正しく、謙虚で、従順な若者」の姿はないだろうけど、
むしろそんな従来の工場生産的な、ただの人手としての御用聞き社員は、これからの日本に必要ないのだと思うのです。
できるだけ若いうちに日本以外の国へ出ていって、自分の中の常識をぶっ壊して、あー日本っていいなーで終わらずに、日本のここが変だってところをどんどん見つけてしまえばいい。
もちろん海外を知るためには青年海外協力隊以外の手段も沢山あるだろうけど、こんなにも草の根の末端まで入り込んで、しかも日本の信頼できる機関から手厚いサポートを受けながら活動できる制度はなかなかないと思います。
さらに、隊員になったからこそ出逢えた日本全国のバラエティ豊かな仲間達との繋がりは、今後の自分自身の人生を考える上でかけがえのないものになると確信をもって言えます。
なんだか協力隊のまわし者みたいになりましたが(笑)、
とにかくザンビアのことも日本のことも心から好きだと感じる私は、両者がお互いに学び合って良い相乗効果が生まれることを願ってやみません。